巻き爪/陥入爪(かんにゅうそう)
巻き爪/陥入爪について
巻き爪(まきづめ)・・・彎曲爪(わんきょくそう)とも呼ばれ、爪の両端が内側に巻いたように変形している状態です。足の爪には元々着地などの衝撃に耐えられるよう、内側に巻こうとする特性がありますが、通常の日常生活では、歩行などの運動で巻く力に反発する力がかかり、バランスよくその形状を保っています。ところが靴のサイズ違い、歩行機会の減少、外反母趾、爪の切り方(深爪など)、薬の副作用などの様々な要因でバランスが崩れてしまうと、本来の形状から湾曲してしまうのです。
陥入爪(かんにゅうそう)・・・陥入爪は巻き爪とは異なる症状を指しますが、発症の原因が同じ場合や、巻き爪から陥入爪に進展する場合も多いので、並べて語られることが多いです。
爪の両端が周囲の皮膚組織に食い込んで炎症を起こして腫れて、発赤や痛みを伴う状態のことで、痛みで歩行すらが困難になり、長く放置していると爪が食い込んだ部分が細菌に感染し、最悪の場合は骨にまで細菌感が達し、骨が破壊されることもあります(骨髄炎)。
巻き爪や陥入爪の方は、違和感や痛みから足をかばうために、いつもとは違った歩き方をしてしまい、足首、膝、腰に不要な負担をかけてしまい、捻挫、膝痛、腰痛などを起こすこともあります。
治療について
巻き爪/陥入爪の治療法には、「保存療法」と「手術療法」の2種類があり、巻き爪や陥入爪の状態に応じて適切な治療法を選んで治療します。
「手術療法」は局所麻酔をした上で、周囲の皮膚に食い込んだ爪を除去する方法で、炎症が強い場合や肉芽腫(にくげしゅ)を生じている場合に有効です。ただし、新しい爪が生えてきても再発する可能性があります。
「保存療法」は爪はそのまま保ちながら、テープやクリップなどの矯正器具で直していく方法です。比較的症状が軽い場合に有効で、ご自身でもご自宅で処置ができるなど、ハードルが高くないのが特徴です。
当院の対応
当院では保存療法を中心に、テーピング指導(保険診療)、さらにはガター法(保険診療)、ドクターショール(自費診療)などによる治療を行なっております。当院でのクリップの購入・装着に関しては基本的に自費診療になりますが、爪の食い込みが強く辺縁の腫脹・疼痛の強い方は保険診療での診察を行えますので、お気軽にご相談ください。
ガター法(保険診療)について
切れ目を入れ加工したチューブを爪の側縁に挿入し固定する方法です。爪を挟んだチューブが皮膚との緩衝剤になり、数日装着すると、多くの場合痛みや炎症は消失します。 当日のシャワー、翌日からは入浴が可能です。
この治療方法の効果
- チューブで爪の先を保護することで食い込みを防ぎます。
- チューブで保護することで、正常に爪を伸ばすことができます。
注意事項
- チューブを差し込むときに痛みが生じるため、症状に応じて局所麻酔をする場合があります。
- 爪に衝撃が加わるとチューブが外れることがあります。
ドクターショール(自由診療)について
「巻き爪用クリップ」という矯正器具で行う方法です。
巻き爪用クリップとは形状記憶素材のプレートのフックで爪の両先端を持ち上げた状態を保ちます。痛くないのでご自分で装着が可能です。
爪の大きさによってS、M、Lの3サイズがあります。
この治療方法の効果
- 超弾性形状記憶合金のクリップで爪を適切な形状に固定します。
- 皮膚への干渉がなくなるので、痛みや炎症が改善します。
注意事項
- 運動をする時はクリップをはずし、ケースに入れて保管してください。
- プールやお風呂(サウナ含む)に入る時はクリップをはずし、ケースに入れて保管してください。
- 再装着の際には患部を清潔にしてから装着してください。
副作用について
使用中に痛み・刺激・違和感・かぶれなどの症状が出る場合があります。また入浴の後、爪が柔らかくなると矯正効果が強くなり、痛みや違和感がある場合があります。
費 用(自由診療)
巻き爪クリップ (診察料・装着料込) |
7,700円 |
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皮膚科の病気に関しては、日本皮膚科学会にも分かりやすい解説がございます。どうぞご参照ください。