水虫(足白癬)とは

一般的に「水虫(足白癬/あしはくせん)」とは、白癬菌という真菌(カビ)が「」の皮膚に寄生して起こる感染症のことを言います。白癬菌は足以外の体中(爪を含む)のどこにでも寄生します。元来は土の中にいましたが、人の皮膚のケラチン(角質の成分)を栄養分として繁殖するようになりました。ヒトの皮膚に寄生する白癬菌は十数種類で、日本ではそのうち6種類程度が確認されています。
この白癬菌感染症は、白癬菌が寄生した場所によって呼び名が異なり、足以外では頭部のものは「しらくも(頭部白癬)」、股間部分は「いんきん(股部白癬)」、手にできるものは「手水虫」、それら以外は「たむし(体部白癬)」と呼ばれています。
症 状・・・水虫(足白癬)の場合は感染後すぐに、必ず痒み等の症状があるわけではなく、菌の角質侵食が進んで皮下組織まで達し、炎症を起こすことで痒みなどの症状が発生します。放置すると皮膚の皮むけや、水疱などの症状が広がり、破れてジュクジュクする場合もあり、足の部位によっても症状が異なります。(水虫の種類

水虫の症状のイメージ

白癬菌は性別・年齢に関わらず、どなたにも感染する可能性があります。

水虫の原因と種類

水虫の原因

白癬菌は高湿度を好むため、日本では梅雨時期から秋にかけて多く発症し、この時期に症状が悪化します。しかし冬場でも長時間靴(特に長靴など)を履いている方などは、常に感染、悪化のリスクがあります。
特に靴を履いている足に感染しやすいのは、足元が白癬菌に触れやすいのと、靴内が高湿度であるためです。靴を長時間履き続けると通気性が悪く、汗で蒸れて白癬菌が増殖しやすい環境になります。英語で水虫は「Athlete’s Foot(運動選手の足)」と呼ばれるのも、一般的に運動選手は長時間同じ靴を履き続けているので水虫になりやすいからです。
白癬は伝染しやすい病気であり、菌がスリッパや足ふきマットを介して感染することが多く、家族内だけでなく寮や老人ホームなどで集団生活をしている方や、共同浴場やプールの利用時などに感染リスクが高くなります。年齢・性別に関係なく感染します。
水虫は自分だけの問題に止まらないので、積極的な予防や、感染した際は適切な治療が重要です。
また糖尿病や免疫力の低い方や、ステロイド内服をしている方は感染しやすい傾向にあります。

水虫の種類

水虫の症状はさまざまで、足の指間が赤くなって皮がむけ、ひどくなるとただれてびらんを呈する「指間型」、足の裏にかゆみがあり、細かな水疱ができて周囲が赤くなる「小水疱型」、踵(かかと)周りから足の裏全体がカサカサして厚みを増して硬くなり、角化したり皮が細かくむけて落ちる「角質増殖型」、爪に白癬菌が感染した際に生ずる「爪水虫/爪白癬」などがあります。

足白癬

趾間型

趾間型(しかんがた)は水虫の中でも最も顕著に見られるもので、 足の指の間の皮がむけたり、ふやけたり汁が出てジュクジュクしたりするのが特徴です。ただの皮剥けと思って放置すると悪化する場合があるので、早めに受診することをおすすめします。

指間型(しかんがた)

小水疱型

小水疱型(しょうすいほうがた)は足の裏や側面に小さな水ぶくれができるタイプです。小さな水ぶくれは増えてくると、水ぶくれ同士がくっついたり破れたりを繰り返して皮膚がめくれていきます。このタイプは、目視で水ぶくれが確認できるので、早めに気づくことが可能です。

小水疱型(しょうすいほうがた)

角質増殖型

角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)は踵(かかと)付近がカサカサして皮膚が硬く、厚くなり、徐々にひび割れも起こします。症状は足の裏全体に広がりますが、痒みがあまりないため、ただの乾燥だと思って見過ごされ易いタイプです。カサカサした皮膚はポロポロと剥がれて落ちやすいので、裸足で生活していると床やスリッパなどを介して人にうつしてしまう可能性が高いため注意が必要です。

角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)

爪水虫/爪白癬

爪にまで白癬菌が進行してしまった状態を爪水虫、または爪白癬(つめはくせん)と呼びます。足の水虫を放置したことで起こる場合がほとんどで、特に親指の爪によく見られます。
爪の色が黄色や白に濁ったり、爪が厚くなるのが特徴で、痒みなどの自覚症状はありませんが、爪水虫は完治するまでに時間がかかるのでしっかり予防をして、爪水虫が疑われる場合は早めに受診することが大切です。

爪水虫/爪白癬

体部白癬、股部白癬など

体部白癬

体部白癬は一般に「ぜにたむし」、あるいは単に「たむし」とも呼ばれ、動物との接触や格闘技などの体と体の接触が多いスポーツによる感染、足や爪の水虫の体への感染などが原因で起こります。 体幹、腕、脚などに、痒みを伴う環状に赤く盛り上がる発疹が現れるのが特徴です。

股部白癬

股部白癬は「いんきんたむし」、あるいは単に「いんきん」とも呼ばれ、本人、あるいは家族などの共同生活者の水虫から感染・増殖して起こることが主な原因です。 股部周辺に、痒みを伴う環状に赤く盛り上がる発疹が現れるのが特徴です。
鼠径部や股間は通気性が悪いので特に夏場は湿気がたまりやすく、入浴時に洗浄がおろそかになりがちなことや、太ももがこすれて摩擦が起こることなども悪化する要因になっています。

水虫の検査

感染が疑われる場所から角質や爪の一部、毛などを取り、顕微鏡で観察して白癬菌の有無を調べます(直接顕微鏡検査)。足などは稀に、水虫でなくても蒸れて皮が水泡状になったりむけたりします。白癬に似た症状の場合がありますので、自己診断は避けましょう。

水虫の予防方法

白癬菌が皮膚に付着してから侵入するまでに丸一日(24時間)さらに傷がある場合は半日(12時間)程度要すると言われていて、多くの場合、24時間以内に足を洗えば感染を防ぐことができるといえます。
家族や同居者に水虫の方がいる場合は、お風呂のマットだけでなく、床や畳にも菌が多く存在している可能性があるので、症状がある方はなるべく早めに皮膚科を受診して治療を始めましょう。治療を開始すると、数週間で床などの菌は治ってくるので、それまでの期間は感染者が使ったお風呂のマットやスリッパは別々にして、床掃除をまめにしてください。
なお、足が蒸れると白癬菌が増殖するので、靴は通気性の良いものを選び、毎日同じ靴を履くのを避けて、定期的に乾燥させてください。

水虫の治療

ご自身の判断で水虫でもないのに白癬治療薬を使用すると、かえって症状が悪化しますので、白癬菌による水虫であることが確定してから治療を行うことが重要です。
正しい診断が治療の第一歩です。疑わしい場合、まずは皮膚科を受診してください。

当院での対応

外用薬、内服薬を使って症状の改善、完治に努めます。

  • 外用薬まずは、最低1ヶ月以上の外用薬による治療を基本に行います。
    痒みなどの自覚症状がある場合は、角質の奥深くまで白癬菌が浸透していることが多く、白癬菌を完全に殺菌することは難しくなります。皮膚が完全に新しいものに入れ替わる数ヶ月程度はかかりますので、根気よく治療を続けていきましょう。
  • 内服薬外用薬で効果が不十分な場合や、深在性の感染を考える場合には内服薬も治療の選択肢となります。副作用として肝腎機能異常などが出現する場合もあるので、必要に応じて採血検査なども行います。